2016年7月12日

オバマ大統領の置き土産? ホワイトハウスが細菌叢研究に投じる巨大マネー

ホワイトハウス細菌叢の持つ大きな可能性に注目して、各国の政府が動きを見せ始めている。まず海外に目を向けると、アメリカではホワイトハウス主導のプロジェクトが2016年5月に立ち上がった。

腸内細菌叢にとどまらず、広く環境全般の「細菌叢(マイクロバイオーム)」を研究対象とし、省庁や官民の垣根を超えて研究資金を拠出しようというもの。

National Microbiome Initiative

このプロジェクトでは次の3つのゴールが掲げられている(※意訳が含まれるため訳語の正確性についてはご容赦いただきたい)。

  1. 学際的な研究を支援すること
  2. 細菌叢の多様な生態系についての知識を共有し、データへのアクセスを高めるための基幹技術を開発すること
  3. 市民科学(Citizen Science)や教育を通じて労働人口を増加させること

政府はマクロバイオーム研究に総額120億円を拠出、民間も巨大資金の投下を準備

ドル

プロジェクトのゴール達成のために、2016〜2017年度の政府予算として1億2000万ドル(約120億円、2016年7月現在)が投じられるとのことらしい。具体的な政府機関によるグラントとしては、

  • エネルギー省(Department of Energy):2017年度に1000万ドル
  • NASA:1250万ドル
  • 国立衛生研究所(NIH):2000万ドル
  • 農務省(Department of Agriculture):2017年度に約2400万ドル(ヒト、土壌、家畜などの常在細菌叢)

などという計画が並んでおり、文字通り省庁横断のビッグプロジェクトが動き始めた。

また、特筆すべきは資金の出し手としての民間との連携が掲げられいることである。その中にはあの有名なBill & Melinda Gates財団の名前もあり、同財団は4年間で1億ドル(100億円)を拠出するとの情報が提示されている。

今年後半から来年にかけて、太平洋の向こうでは一体誰が大統領になるのか目が離せないが、マイクロバイオームにまつわるこの国の動きからも目を離すことができそうにない。