腸内細菌研究
国内外の腸内細菌叢(さいきんそう・microbiome)研究の最先端の論文を厳選してご紹介します。ヒトやマウスにおける疾患との関係を解き明かす研究はもちろんのこと、ウマやウサギなど、さまざまな動物と腸内細菌叢の関係の一端もわかります。
「腸内細菌研究」カテゴリー記事一覧
自閉症へのプロバイオティクス有効性を検証する研究が進行中
2018年4月10日
自閉症患者では、消化器症状が頻繁に見られることが知られています。自閉症と消化器症状との関連がはじめて指摘されたのは1971年と意外と古く、Goodwinらにより発表されました1)。その後も類似の研究で関連が証明されていま…
ニワトリの細菌叢が分解した栄養素はどうなる?
2018年3月27日
ニワトリの細菌叢は、さまざまな栄養素を分解し、有益な物質を作っています。炭水化物、タンパク質、脂質に注目して見ていきましょう。 ニワトリのエネルギー源を作る細菌叢 ニワトリでは消化管内の細菌叢が、食餌性の多糖類を分解して…
ニワトリの消化器官、そして腸内細菌叢はヒトと似ている
2018年3月12日
ニワトリは身近な動物です。世界中に240億羽以上もおり、他の鳥類全ての個体数を凌ぐ圧倒的な数です。卵に肉にと、日々さまざまな面でお世話になっている、大変身近な家禽です。もともとは野生種(gallus gallus)ですが…
慢性疲労症候群を腸内細菌叢で診断できるかもしれない
2018年2月27日
慢性疲労症候群(ME/CFS)は、日常生活が損なわれるほどの強い全身倦怠感や、それに付随するさまざまな症状が長期に渡って持続する疾患です。その名前から強い慢性疲労と思われがちですが、そうではありません。2016年に疾患と…
なぜウシのげっぷにメタン?——メタン産生菌の意義
2018年2月20日
今回は、反芻動物の特徴的な菌であるメタン産生菌を主役に紹介します。温室効果ガスであるメタンを産生する菌は、実はウシの第一胃に欠かせない存在です。なぜでしょうか。 げっぷに含まれるメタンの問題 ウシの第一胃にいる微生物は、…
トレハロースで増えるクロストリジウム・ディフィシル腸炎強毒性株
クロストリジウム・ディフィシル腸炎は偽膜性大腸炎とも呼ばれ、Clostridium difficile(CD)の異常増殖の結果として発生する腸の感染症です。CDは常在性の嫌気性菌であり、健常者の腸内にも存在していますが、…
ウシ第一胃にいるのは複雑な関係の細菌たち
2018年2月6日
ウシの第一胃に含まれる微生物の数は膨大で、まるで宇宙です。今回は、その細菌たちの関係についてご紹介したいと思います。人間の社会はとても複雑ですが、胃の中の細菌たちの関係も複雑に相互作用しています。 セルロースを分解して短…
偽膜性腸炎への糞便移植は「凍結便」でも有効か?
2018年1月23日
偽膜性腸炎は、抗生剤の投与により正常の腸内細菌叢が崩れ、菌交代現象が起こった結果、ある種の菌が異常に増殖することで引き起こされる大腸の炎症です。多くはClostridium difficileによる感染性腸炎の病態を呈し…
ウシの4つの胃と細菌のヒミツ
2018年1月16日
今回はウシの消化や、それに関わる腸内細菌叢を紹介します。ウシは、草食動物と聞いてすぐに思い浮かぶ動物でもあり、日常生活では乳製品や肉製品と大変お世話になっています。 4つの胃を持つ動物 これまでウサギ、ウマ、コアラと様々…
免疫チェックポイント阻害薬の治療効果は腸内細菌叢で決まる?
2017年12月19日
がん治療の分野で新たな治療法として「免疫チェックポイント阻害薬」が注目を集めています。この薬の治療効果と腸内細菌叢の関係に着目した研究が最近の『Science』誌から2報同時に報告されました。今回はその結果を中心に紹介し…