腸内細菌研究
国内外の腸内細菌叢(さいきんそう・microbiome)研究の最先端の論文を厳選してご紹介します。ヒトやマウスにおける疾患との関係を解き明かす研究はもちろんのこと、ウマやウサギなど、さまざまな動物と腸内細菌叢の関係の一端もわかります。
「腸内細菌研究」カテゴリー記事一覧
ヒゲクジラも反芻動物のように植物繊維を発酵するのか?
2018年10月16日
海に生きる最大の哺乳類である動物食のヒゲクジラと、草食であるウシやヒツジなどの陸棲の反芻動物は、共通の祖先を持っています。そのような近縁種であっても、その腸内細菌叢のはたらきには、類似点だけでなく異なる点もあります。 (…
ヒゲクジラの腸内細菌叢は肉食系?草食系?
2018年10月2日
クジラは大きく分けて、歯のあるハクジラ亜目とヒゲのあるヒゲクジラ亜目の2つのグループに分かれます。 ハクジラは文字通り、ヒトの歯と似たような歯をもつ鯨類です。それに対してヒゲクジラは、歯をもっておらず、ヒゲ板という特殊器…
大腸がん既往歴のある人の腸内細菌代謝を変える米ぬか
2018年9月4日
食生活は、大腸がんのリスクファクターになり得ることが知られており、遺伝性のないケースでは、食生活による要因が95%占めるといわれています1。 日本でも、食生活の欧米化に伴い、大腸がんの罹患率が上昇してきました。穀物および…
すくすく育つ赤ちゃんパンダと腸内細菌叢
2018年8月7日
竹が主食でも、その腸内細菌叢は草食動物より肉食動物に近いとされているパンダの腸内細菌叢の謎は、まだ解明され始めたばかりです。家畜や家禽などでは既によく知られている腸内細菌叢の獲得過程も、まだ十分に明らかにはなっていません…
パンダの腸内細菌叢は竹の消化に適しているのか?
2018年7月24日
パンダといえば竹や笹を食べている、ということは広く知られていますが、彼らはクマの仲間です。クマは雑食または肉食で、肉食動物らしい短い消化管をしています。ということは、パンダの消化管や腸内細菌叢にはクマと大きな違いがありそ…
便秘型過敏性腸症候群はプロバイオティクスで治療できるか?
2018年6月19日
担当:松村むつみ 過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome; IBS)は、腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態を示す機能性疾患(器質性疾患に起因するもの…
腸で過剰な免疫を抑える制御性T細胞(Treg)と腸内細菌
2018年6月5日
担当:笠原和之 腸では、侵入しようとする病原菌やウイルス、真菌から体を守ろうと日夜攻防がくり広げられています。その防御策の最大の主役が免疫細胞です。腸の上皮および粘膜下には、非常にユニークな免疫細胞たちが数多く存在します…
2型糖尿病の病態にも腸内細菌叢の影あり
2018年5月22日
執筆:野本 昌代 近年、さまざまな疾患と腸内細菌叢に関わりがあることが多数報告されています。疾患の原因や病態の一貫としてその役割が示されたり、改善の足がかりになる可能性が示唆されたりするなど、その関与はさまざまです。そ…
腸内細菌移植が自閉症の症状を改善することが示唆された
2018年5月8日
執筆:松村むつみ 自閉症と腸内細菌には、腸脳相関を介して関連があると言われています。前回は、プロバイオティクスを摂取して腸内細菌のバランスを整えることにより自閉症の症状を改善するかを検証する、現在進行中の研究を紹介しまし…
ヒトにも関係のあるニワトリの細菌叢と感染症
2018年4月24日
ニワトリは、人獣共通感染症の媒介動物であることでも有名です。ニワトリだけではなく、ヒトにも感染して病原性を有するサルモネラやカンピロバクターなどの保菌動物です。その他、様々なウイルスを保有することでも知られています。 こ…