腸活のキーワード「短鎖脂肪酸」をおさらいしよう
腸活という言葉をよく耳にするようになりました。腸活とは、「腸内環境や腸内細菌叢(腸内フローラ)を元気にすることで、自身の健康を高めるための活動」というものです。
腸活で大切なもののひとつが、食物繊維。食物繊維は腸内細菌叢のエサとなり、短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸など)というものを作ります。この短鎖脂肪酸が、私たちの健康に大きく関わっていることがわかってきました。
Mykinsoラボでは多くの記事に短鎖脂肪酸が登場してきました。そこで、短鎖脂肪酸をキーワードに、Mykinsoラボの記事を振り返ってみましょう。
健康の鍵は腸内細菌が握っている——「腸内サミット」レポート
まず、腸内細菌叢と健康との関係がどのくらいわかっているのか、この記事でおさらいしましょう。食物繊維で便通がよくなることはよく聞きますが、それ以外にも免疫系の調整、腸の炎症を修復、代謝を上げるなど、さまざまなことに短鎖脂肪酸が関係しています。
【ブックレビュー】自然の見えなかった半分を見つめる『土と内臓』書評
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この本では、腸管壁滲漏症候群という病気が原因と思われる肥満が登場します。この病気では、Enterobacter(エンテロバクター)属などの細菌が出す内毒素が血中に漏れ出し、免疫細胞を刺激して全身性の炎症を引き起こします。そこで、食物繊維が豊富な食べ物を摂取することで短鎖脂肪酸が多く作られる、そして免疫系に作用するという仮説が立てられ、見事に治療に成功したエピソードが紹介されています。
病気を解明するモノサシができた!―日本人腸内細菌叢研究の新たな展開
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こちらは106人の日本人の腸内細菌叢を解析し、海外の人の腸内細菌叢を比較した研究です。これによると、日本人は海外に比べて短鎖脂肪酸の作られる量が多いとのこと。日本人の長寿の秘密はここにあるのかもしれません。今後の研究に期待です。
いざ実践!腸活レシピ
短鎖脂肪酸の元となる食物繊維が豊富に含まれるご飯を食べるのが大事。せっかくなので、自分で作ってみましょう。レシピは今後も紹介していきますので、「腸に優しいご飯にしたいけど何を作ろう……」とお悩みのときにはぜひチェックしてください。
パーキンソン病では短鎖脂肪酸は悪者になる?
ここでブレーキをかけるようになってしまいますが、パーキンソン病のモデルマウスでは、短鎖脂肪酸はむしろパーキンソン病の症状を悪化させるという研究成果もあります。ヒトでどうかはまだ定かではありませんが、「短鎖脂肪酸=万能薬」ではないのかもしれません。こちらも今後の研究に期待です。