経営者に聞いた、子ども向け腸内フローラ検査サービス「マイキンソーキッズ」に込めた想い
子ども用腸内フローラ検査サービス「Mykinso(マイキンソー)キッズ」β版が、2017年9月にスタートした。このサービスを立ち上げたきっかけや、どのように活用してほしいかを、株式会社サイキンソー取締役の竹田綾さんに伺った。
出産・育児を通じて子どもの腸内環境に興味をもった
竹田さんは2017年現在、5歳の長女と3歳の長男の2児の母である。ちょうど長女を出産したころに、現在のサイキンソーの事業である腸内フローラ検査サービスを始めようと考えるようになった。それは、出産を通じて、子どもの食生活を意識するようになったからだった。
そして、長女が生後10カ月のときに、熱性けいれんから肺炎になり、2週間入院することになった。竹田さんは、毎日のように長女に抗生物質を飲ませながら、腸内環境がどのように回復していくのかが気になったという。
「娘は小さいころから便秘気味なのです。これは肺炎のときの抗生物質が影響しているのだろうか。それとも、私自身が便秘気味なので、私のせいなのだろうかとずっと考えていました。薬ではなく、生活習慣で娘の腸内環境を変えていくことができるのかどうか、ずっと興味があったのです」
その後、長男の妊娠中に起業を決意し、株式会社サイキンソーを設立した。起業当初のサービスの対象者は大人向けだったが、竹田さんは起業当初からずっと子ども向けのサービスも提供しようと考えていた。
というのも、大人の腸内フローラはすでに固定されており、細菌のバランスをほんの少し変えるだけでも大変である。その一方で、子どもの腸内環境は、成長とともに変化していく。薬ではなく、食生活の改善というかたちで親が関与できそうなことに魅力を感じたのだ。
排便について子どものころから意識していきたい
竹田さんは、子どものころから便について学ぶことは、とても大事だと考えている。
「子どものおむつがはずれると、子どもがいつ排便したのか、親は把握しにくくなります。もし、便秘なのに気づかずに放置すれば悪化します。特に女の子は、小学校に上がると恥ずかしがって学校で排便したがらなくなり、便秘が悪化しやすいのです。おなかの調子が悪いと、気分を上がらず、楽しく生活できません。でも、こういうことって学校ではなかなか教えてくれないですよね」
そのために、家庭では、便が毎日出ているのか、出た便はいい便なのか悪い便なのかを、3歳ごろから親子で確認していくことが大切だと、竹田さんは主張する。
「小学校3年生の娘さんのいる弊社のスタッフに便の検査を頼むと、娘さんはすごく恥ずかしがって嫌がるそうです。でも、もし、小さいうちから便と向き合う経験をしていれば、小学生になっても恥ずかしがらずに検査をやってくれると思うのです。こういうことは、小さいころからの慣れが必要なんですよ」
子ども向けの検査サービスは「マイキンソーキッズ」が初めて
さて、世の中には腸内フローラの検査サービスはいくつもあるが、大人向けのものしかない。もちろん、大人向けのサービスを子どもが利用することもできるのだが、純然たる「子ども向け腸内フローラ検査サービス」は、「マイキンソーキッズ」が初めてだ。
子ども向けのサービスは、大人向けと何が違うのか。具体的には、生活習慣に対するアンケート項目が違う。子どもに対して「運動の習慣はあるか」「きちんと眠れているか」と聞いても、大人とは適切な運動量や睡眠時間は違うので答えにくい。また、たとえば0歳児には、母乳やミルクのタイミングが大切になるなど、同じ子どもであっても、年代によって聞くべき項目は変わってくる。
検査結果の項目も、大人とは違う。たとえば、ビフィズス菌が5%という結果が出たとしても、その結果にどのような意味を持つのかは、大人と子どもとでは違う。あくまで同じ世代の子どもと比べないと、その子どもが標準的な腸内環境かどうかはわからないからだ(実際、乳幼児は大人に比べてビフィズス菌類が非常に多い)。
さらに、マイキンソーキッズでは、7歳以上の子どもに対しては、子ども自身がアンケートに回答できるようになっているし、子ども向けの研究の説明書もついてくる。これは、子どもにも腸内環境について意識してほしい、親と一緒に学んでほしいという思いがあるからだ。
今後、サービスの利用者が増えれば、たくさんのデータが集まってくる。そうすれば、「将来アレルギーのリスクがあるのでこうすればいい」などのアドバイスも可能になるという。
「もし、母親自身が妊娠糖尿病になり、子どもにも将来糖尿病のリスクがあるのではないかと心配だったとします。そんなとき、子どもの腸内フローラを検査し、何もなければほっとするのではないでしょうか。その一方で、将来何らかのリスクがあることがわかれば、子どもの食環境を整えるなど、何らかのアクションを取って、将来のリスクを減らすことができるかもしれません。私たちはそのお手伝いをしたいのです」
子どもの便秘が気になる方、食育に積極的に取り組んでいる方、お子さんの成長記録を大切にしている方は、試してみてはいかがだろうか。